師匠シリーズ

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【師匠シリーズ】47 鋏

大学3回生のころ、俺はダメ学生街道をひたすら突き進んでいた。2回生からすでに大学の講義に出なくなりつつあったのだが、3年目に入り、まったく大学に足を踏み入れなくなった。
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【師匠シリーズ】58 怪物 「起」

京介さんから聞いた話だ。怖い夢を見ていた気がする。薄っすらと目を開けて、シーツの白さにまた目を閉じる。鳥の鳴き声が聞こえない。
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【師匠シリーズ】46 ともだち

大学2回の冬。昼下がりに自転車をこいで幼稚園の前を通りがかった時、見覚えのある後ろ姿が目に入った。白のペンキで塗られた背の低い壁のそばに立って、向こう側をじっと見ている。
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【師匠シリーズ】32 病院

大学2回生時、9単位。3回生時0単位。すべて優良可の良。俺の成績だ。
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【師匠シリーズ】45 雨上がり

昨日から降っていた雨が朝がたに止み、道沿いにはキラキラと輝く水溜りがいくつもできていた。大学2回生の春。梅雨にはまだ少し早い。大気の層を透過して、やわらかく降り注ぐ光。
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【師匠シリーズ】44 跳ぶ

俺は子供のころからわりと霊感が強い方で、いろいろと変な物を見ることが多かった。大学に入り、俺以上に霊感の強い人に出会って、あれこれくっついて回っているうちに、以前にも増して不思議な体験をするようになった。
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【師匠シリーズ】43 葬式

大学2回生の初秋。サークルの先輩と二人でコンビニに食料を買いに行った、その帰り道。住宅街の大通りから脇に入る狭い道があり、その手前に差し掛かった時に、軽い耳鳴りに襲われた。その直後、目の前の道路の上にぼんやりとした影が見えた気がした。
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【師匠シリーズ】42 田舎 前編

大学1回生の秋。その頃うちの大学には試験休みというものがあって、夏休み→前期試験→試験休みというなんとも中途半端なカリキュラムとなっていた。
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【師匠シリーズ】41 図書館

大学2回生のとき、出席しなくてもレポートだけ提出すれば少なくとも可はくれるという教授の講義をとっていた。嬉々として履修届けを出したにも関わらず、いざレポートの提出時期になると「なんでこんなことしなきゃいけないんだ」とムカムカしてくる。
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【師匠シリーズ】40 10円

大学1回生の春。休日に僕は自転車で街に出ていた。まだその新しい街に慣れていないころで、古着屋など気の利いた店を知らない僕は、とりあえず中心街の大きな百貨店に入りメンズ服などを物色しながらうろうろしていた。