【オカルト板百物語】Bar

百物語
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とある、バーでの事。
その日も馴染みの客で賑わう、ごくあたりまえの風景の中で、ひとり、
見掛けない女性客がカウンター席に座っていた。

9: 三年目の朝顔 ◆6.QkgMwzsU 2012/08/18(土) 21:18:30.85 ID:Pz8hVc6P0

とある、バーでの事。
その日も馴染みの客で賑わう、ごくあたりまえの風景の中で、ひとり、
見掛けない女性客がカウンター席に座っていた。

ここのバーは裏通りの目立たない場所にあるので、新規の客をあまり見掛け
ない。だから余計に目を引いたのかもしれないが、自分は妙にその女の存在が
気に掛かった。

百物語

…酒も数杯飲み、マスターやスタッフとの会話も途切れた時、自分は何故か
急に眠くなってきた。その日も35度を超す猛暑で、涼みがてらバーに駆け込み、
お腹も満たされ、程よく酒もまわり、居心地が良くなったせいだろうと思って
いた。マスターも明日の休みを前に疲れが溜まっているのか、あくびを噛み
殺していた。

その時「すみません」と、沈黙を破るように女から声が掛かり、マスターと
スタッフは返事をして女がいるカウンター席を見た。
自分もボーッとした頭で、隣の客越しに女を見ようとして思わず、目を
擦った。マスターを見るとスタッフと顔を見合わせてキョトンとしている。

………。あの夏、バーから忽然と姿を消した女の声が、未だにハッキリと耳に
残っているのに、女の姿をバーで見る事は二度と無かった。

出典: ・【8月18日】百物語本スレ【怪宴】

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