MARI

師匠シリーズ

【師匠シリーズ】044 冬が来る前に

「なんの用なの。1人で来るなんて、珍しいわね」「まあ、ちょっと」 僕は、喫茶店の窓際の席で看護婦の野村さんと向かい合っていた。彼女は大学病院で看護婦長をしていて、師匠とは古くからの知人だった。その縁で僕も何度か会ったことがあった。もちろん、1人で会うのははじめてだ。
殿堂入り

【洒落怖殿堂入り】神様の卵

俺が子供の頃、母方の祖父が養鶏場をやっていた。祖父が死んで今は人手に渡ってしまったが、まだ祖父が元気だったころ、夏休みのたびに遊びに行っていた。
山にまつわる

【洒落怖】祖父の死因【短編】

親父に聞いた話。30年くらい前、親父はまだ自分で炭を焼いていた。
殿堂入り

【洒落怖殿堂入り】イトウって知ってる?

高1の時に言われたのが一番最初。夏休み明け直後の日だったんだが、いきなりクラスの奴に「イトウって知ってる?」って言われた。
エロ怖

【エロ怖い話】オタクAV女優

『私の処女を破りにきて』というアダルトビデオ。噂で「キャラクターの名前を呼びながら喘ぐAVがある」と聞いて、それをまんがで描いたら監督さん本人が送ってきてくれたんです。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】043 星型要塞都市

角南家での老人との会合から2日が経っていた。 その日、僕はバイトで小川調査事務所にやってきた。特に調査の依頼は入っていない。ただの資料整理だ。情報が命の興信所は、最近の様々な事件を常に整理している。タカヤ総合リサーチなどは、その辺がかなりシステマティックに整備されている。
洒落怖

【洒落怖】母の話【短編】

昔うちの母に聞いた話です。母は高校生の頃、学生寮に入っていました。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】042 老人

目の前に、深い皺の刻まれた老人がいる。彫りの深い顔は、まるで往年の映画俳優のようだ。ただ映画を撮るには、少し痩せすぎているように見えた。 年季の入った黒檀の机のうえに、和服のそでからのびた細い腕が置かれている。その腕が、大きな灰皿を引き寄せて、もう片方の腕がタバコの灰を落とす。
洒落怖

【洒落怖】おまえだれ?【短編】

ロフト付の6畳キッチン付で快適とまでは言わないが普通に暮らせるアパート。入居したのはもう1年ぐらい前だが、ここ半年ぐらい前からロフトが怖い。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】041 地下

 巨人を見た次の日、僕らはJRに乗って、となりの町へやってきた。 うちの大学の日本史研究室の元教授で、退官した今では、郷土史家という肩書きでのんびりと好きな研究を続けている、宮内氏を訪ねてきたのだ。