【洒落怖】ビジネスホテルにて

宿にまつわる
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短く纏めるつもりがかなりの長文になってしまったので暇な人だけ読んで頂ければと思います。

120: ビジネスホテルにて1:2009/12/14(月) 06:40:56 ID:Mg+YjVjL0
去年の正月の話。

短く纏めるつもりがかなりの長文になってしまったので暇な人だけ読んで頂ければと思います。

俺は二十歳位から都心で生活しているのだが、正月は暇なので実家に帰る。
改めて東京は地方出身者の集まりなんだな、と感じる程正月は道路もガラガラ。
なので正月は車で15分もあれば実家に帰る事が出来る。

俺は片親で実家には親父しか居ない。
この親父がまたヤンチャと言うか豪快と言うか、過去正月にお互い酔っぱらって
鼻骨骨折、前歯欠損レベルの喧嘩を良くしていた。
さすがに最近はお互い大人になって殴り合いになるような事は無くなったが。

少々話が逸れたが、そんな親子関係なんだ。地元の友達みたいな。
当然親父も俺も二人で正月を過ごすってのはなんだか照れくさいもんで、
毎年親戚の家で鍋なんかをつつきながら、酒飲んで馬鹿話してるのが毎年恒例。

親戚は親父の弟(つまり叔父)、お嫁さん(つまり叔母)、
そこの娘(従姉妹だね)などなど皆明るい性格で楽しく過ごさせて貰ってる。
ちなみに叔父、叔母は所謂霊感体質ってヤツで何度か巻き込まれた事がある。
それはまた別の機会に。

その年帰省した時、俺はデジタル一眼を持っていた。キム◯クがCMやってる奴ね。
なんでかって言うと年末の俺の誕生日、毎年友人や後輩や先輩、仲間の皆が誕生日会を開催してくれるんだ。その時なんとなく欲しいなあ、と思っていたそのデジタル一眼を先輩がプレゼントしてくれた。タイムリーで凄い嬉しくて実家で皆の写真を撮ろう、と思ってさ。

家系はみんな大酒飲み。鍋食べながらどんどん酔っぱらっていった。
親父は俺のカメラを取り上げ、パシャパシャ撮って楽しんでいた。
「先輩から貰ったもんだから悪戯すんなよ」と忠告した俺が馬鹿だった。
そんな事言われるとウチの親父は燃える。たけし軍団とたけしのようになってしまう。

案の定、鍋にレンズのフタを入れて煮込み出したり、わざと落下させたりし出した。
最初は俺も笑っていたがどんどんエスカレートしていく愚行に、酒の入った俺も怒りだしてきた。
「次ふざけた事やったら怒るぞ」と忠告した記憶がある。
いつもこんなやりとりなんで周りは笑ってる。

普段酒飲んでも変わらない俺なんだが、日本酒だけは鬼門。その為日本酒は「正月のみ」と
決めている。今思ったが、だから親父と喧嘩になるんだな、、、。
相変わらず親父は悪ふざけ、ついに俺がキレた。
「いい加減にしろよコノヤロー」ってな具合で始まってしまった。
止めに入る叔母。「うるせーよコノヤロー」って具合でもう止める事は出来なかった。

流石にこの歳で殴り合いってのも寒いので、俺はその場で帰る事にした。
飲酒運転は出来ないので代行を探そうと思ったがそれすら面倒くさく、
カード会社に連絡をして最寄りのホテル手配を頼んだ。
しかし、いつも宿泊しているホテルは満室。すぐ他のホテルを手配してもらった。

結局隣町のホテルでタクシーで5000円位の距離。タクシーも手配してもらった。
そんな俺をみて親父も「テメー偉くなったもんだなコノヤロウ」ってなもんで一触即発だったんだ。
叔母は「お正月から親子喧嘩なんてやめてよ。◯◯ちゃん(俺)、我慢して」と
懇願されたが「ウルセーよコラ」と完全に輩モードに突入していた。叔母さんごめん。

タクシーが迎えにきて引き止める叔母さんを振り払いタクシーに乗り込んだ。
宿泊先のホテル情報はタクシー運転手さんに伝わっており、俺はカメラをふきふきしながら
後部座席でムカムカしていた。
だいぶ酔っていたので柔らかい足回りのタクシーは殊の外酔った。

ホテル到着後、さっさと部屋に通して貰った。
ここのホテル満室だったのだが無理をいって予備の部屋?のようであった。
部屋は細長く狭い。ドアをあけてすぐ左手にシャワー&トイレ。その先左手にシングルベッド。
右手には鏡。突き当たりに窓、といったレイアウト。
入った瞬間気持ち悪かったが正月という事もあり代わりのホテルは無い。
なんにせよムカついていたし、馬鹿らしかったし、疲れていたので速攻ベッドで横になった。

思ったより酔っていたようですぐに睡魔が襲って来た。
と、同時に耳鳴り&金縛り。「来たか」と思ったがそんなに慌てなかった。
金縛りは2種類あると勝手に思い込んでいるのだが、大概は身体の疲れから来るものだと
経験上知っていた。それ以外の説明し難い金縛りもあるが、、、。

その金縛りの最中、足下に誰かが居た。人数は分からない。
ただ、俺の足下で俺の脚を踏まないように、足踏みしているか、歩いているか分からないが、
ベッドがグン、グン、と凹む。怒りモードの俺は「うるせーよ!どっかいけよ!」と怒鳴り付けた。
するとソレはピタっと止まり俺は眠りについた。

それから数時間経過しただろうか、ハッと目が覚めた。が身体が動かない。
またもやグン、グン、と足下が凹む。絶対足踏みしてる・・・と確信した。
声にならない声で「しつけーよコラ。なんなんだよテメーは!」とシカトして寝た。
部屋が異様に寒かったのを覚えている。

さらに数時間後、また目が覚めた。今度はあり得ない位激しく足下が揺れていた。
「さすがにヤバいかコレ?」と思った瞬間、知らないオッサン(作務衣?作業着?)が
「ううううううう」と地鳴りのような声を上げて、四つん這いでせり上がってきた。

その声はどんどん大きくなり殆ど正常位のような状態になり、俺の耳元に近づいてきた時は
「う” う” う” う” う”お”お”お”お”あ”あ”あ”あ”!」ってな大きな声になっていた。
かなりビビったが、何度も眠りを邪魔された怒りの方が大きくて「う”るせーよ!」って
感じで跳ね起きた。オッサンは壁に消えた。時計をみたら3:30過ぎだった。

速攻フロントに電話をした。「帰るからタクシー呼んで下さい」と。
時間も時間だからフロントの人も訝しがって「何かありましたか?」と尋ねてきたが
「後で話します」と伝えて電話を切った。

怖かったが、寝汗が凄かったのでシャワーを浴びる事に。怖いのでドア開けたまま。
目も開けたまま。そそくさと退室準備をしながら伯母さんに電話。
一部始終を伝えながら荷物の整理。4時を回ったのかな。外が若干明るくなってきた。
その時、ベッドの左横の壁に異変を感じた。四角い跡が三つある。全部違う大きさ。
最初は絵画の跡かな?と思ったが位置が低すぎる。触るとその部分だけ壁が薄い。

直感的にコレだ!と思った。怖いので伯母さんと通話しながら「伯母さん、多分コレだ。
変な跡がある。今からカメラで写真撮るからアトで見てくれ」とドキドキしていた。
伯母さんは「そんな事怖いから早く帰ってきなさいよ!」と進言してくれたが、
俺はカメラを構え撮影準備に入った。冷静だったと思う。

が、何度シャッターを押してもカメラが反応しない。心霊番組なんかで良くあるアレだ。
急に怖くなってフロントまでダッシュ。フロントのお姉さんに事情を説明。
奥から年配の男性スタッフも出て来て事情を説明。
冗談で「すみません。部屋に携帯忘れたので取りにいって貰えませんか?」とお願いすると
女性スタッフは「いやーーーー!」とプロ失格の反応だったので笑った。

タクシーに乗り込み、運転手さんと昨日からのあらましをお話した。
5000円位の距離を埋めるには最適だと思ったし、興奮していたから。
そこで運転手さんが鋭い一言。
「お客さん、ソレ昨日親父さんが壊しちゃったんじゃないですか?」
それはあり得る。って事でバッグからカメラを取り出し運転手さんの後頭部を撮影。
一発で下りるシャッター。まばゆいフラッシュ。
二人「・・・・・・・・・」

あれからネットであのホテルの事を調べた。
心霊スポットとして名前が上がっていた。
もう宿泊する事は無いだろう。
あのオッサンは誰なんだろう。

大した盛り上がりも無く、長文おつきあい有り難うございました。

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