2025-02

師匠シリーズ

【師匠シリーズ】51 追跡

大学1回生の冬。朝っぱらからサークルの部室でコタツに入ったまま動けなくなり、俺は早々に今日の講義のサボタージュを決め込んでいた。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】50 雨音

大学2回生の秋の終わりだった。その日は朝から雨が降り続いていて、濡れたアスファルトの表面はもやのように煙っている。こんな日には憂鬱になる。気分が沈滞し、思考は深く沈んでいる。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】49 田舎 中編

そもそもの始まりは、大学1回生の秋に実に半端な長さの試験休みなるものがぽっこりと出現したことによる。その休みに、随分久しかった母方の田舎への帰省旅行を思いついたのだが、それがどういうわけか師匠、CoCoさん、京介さんという3人の先輩を引き連れての道ゆきとなってしまった。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】48 自動ドア

先日、ある店に入ろうとしたときに自動ドアが開かないということがあった。さっき出たばかりのドアなのに、戻ろうとすると反応がない。苦笑して別のドアから回り込んで入った。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】47 鋏

大学3回生のころ、俺はダメ学生街道をひたすら突き進んでいた。2回生からすでに大学の講義に出なくなりつつあったのだが、3年目に入り、まったく大学に足を踏み入れなくなった。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】58 怪物 「起」

京介さんから聞いた話だ。怖い夢を見ていた気がする。薄っすらと目を開けて、シーツの白さにまた目を閉じる。鳥の鳴き声が聞こえない。
殿堂入り

【洒落怖殿堂入り】しっぽ

これは、俺の祖父の父(俺にとっては曾じいちゃん?)が体験した話だそうです。大正時代の話です。大分昔ですね。曾じいちゃんを、仮に『正夫』としときますね。正夫は狩りが趣味だったそうで、暇さえあれば良く山狩りに行き、イノシシや野兎、キジなどを獲っていたそうです。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】46 ともだち

大学2回の冬。昼下がりに自転車をこいで幼稚園の前を通りがかった時、見覚えのある後ろ姿が目に入った。白のペンキで塗られた背の低い壁のそばに立って、向こう側をじっと見ている。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】32 病院

大学2回生時、9単位。3回生時0単位。すべて優良可の良。俺の成績だ。
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】45 雨上がり

昨日から降っていた雨が朝がたに止み、道沿いにはキラキラと輝く水溜りがいくつもできていた。大学2回生の春。梅雨にはまだ少し早い。大気の層を透過して、やわらかく降り注ぐ光。